常設展
情とは何か─深まる思い
新型コロナウイルス感染症に端を発する一連の出来事は
人々を静かに沈殿させた
変わることがないと思っていたものの
一切が無常であった
振り返ってみれば
ただ「情」という言葉が残されているのみ
近年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、この世界は大きなダメージを受けました。感染者の隔離、都市封鎖、入国制限措置……、人と人との繋がりや、国と国との結び付きが断絶されてしまったのです。WHOの統計によれば、新型コロナウイルス感染者数は全世界で7億人を超え、死亡者数は7百万人近くに及んでいます。これほどの驚怖や混乱の最中にあっても、重態に陥った親しい友人や家族との別れ─その痛みを私たちはともに乗り越えてきました。だからこそ、人の命に対してこれまでとは違った思いが生じたのです。
無常こそが永遠に変わらぬものであり、ただ情のみが真実なのだと思えます。この書画展で展示される26組の作品には、人の世の様々な情感が表現されています。私たちを結ぶ縁が絶え間なく変化してゆく、その思いを共有する中にあって、その刹那の大切さや、人と人とを繋ぐ情愛を、私たちは身をもって知ることになるでしょう。
本展の展示期間は新暦と旧暦の新年、バレンタインデーとも重なります。人々が互いを思いやる「情」に満ちるこの期間は、この展覧会にふさわしいシーズンだと言えるでしょう。